オリーブオイルについて
オリーブオイルの疑問
賞味期限
開封したらすぐに使い切る? 酸化する? しない?
良いオリーブオイルは非常に安定性が高く、抗酸化力も強いため、
開封してあっという間に使い切る必要はありません。
また、オリーブオイルは天然の保存料でもあり、食品をオリーブオイルに
漬けて保存する技術も古くから多用されています。
料理例: | まぐろのオイル漬け、野菜のオイル漬け、オリーブの実のオイル漬け 干しサルシッチャのオイル漬け、唐辛子のオイル漬けなどなど。 |
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ブオーノイタリアのオリーブオイルは11月中旬に収穫、搾油されます。
オリーブオイルは搾ってから1年半の賞味期限をつけることが義務付けられて
います。搾油したてのすばらしい芳香や新鮮でピリッと辛い後味は、気温が
高くなるにつれて変化します。これは酸化して食べられなくなることとは
異なります。味がまろやかに変わり、夏の暑い時期、採れたてのトマトに
ぴったりの状態に変わっていくのです。お米と同じで、収穫して搾ったら
1年間使うものと考えてください。また、味が柔らかくなったオリーブオイルは
魚料理に合うと好んで使うイタリア人もいます。もしオリーブオイルを
日常使う食材と考えれば、一度開封したら1年半以上開封して放置して
おくなどは、普通にはあまり起こらないことではないでしょうか。
料理例: | (冬~春:ブルスケッタ、ブロッコリ、菜の花料理 夏:トマトのサラダ、 パプリカのオイル漬けなど) |
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本物のエキストラヴァージンオリーブオイルは普通の植物油より値がはります。
そのため、みなさんの酸化に対するご心配もことのほか大きくなることでしょう。
しかし本当に酸化した油というのは、強い臭いと刺すような味がするため、
普通にキッチンに置き、日常使っていれば健康に害を及ぼすような酸化を
気になさることはございません。薬のように小さじ一杯飲んで、料理には
他の飽和脂肪酸とよばれる油をたくさん使うことは、おいしい食事と健康の
意味からも相反するものです。また、もっと値のはり、生産量がさらに少なく、
酸化しやすい油と比べると、酸化に強く、料理をおいしくしてくれる、
さまざまな健康への効果などの点から、実に安定している油と言えるのです。
1日のオリーブオイル摂取量は?
よく1日にどのくらいの油を食べてもよいですか?と聞かれます。
油だからカロリーはあり、太るのでしょう? とも。
油の摂取量は人それぞれです。他の脂肪分をたくさん摂取する人なら、
さらにオリーブオイルを摂取すれば、当然カロリーの摂取量は増えます。
その人の1日の運動量も関係してきます。
例えば、サラダ油や牛脂など目に見える油脂に加え、加工食品にも
たくさんの油脂が含まれているのをご存知でしょうか。それらを控え
オリーブオイルをたっぷり使います。カレーや中華料理にはもちろん
お菓子にもオリーブオイルを使うことがよくあります。その他の油分は
良質のバターやナッツ類、ごま油などを時々使う程度です。
炒め物をする時、オリーブオイルを大さじ3,4杯は使います。
食事はトータルで考えることが必要です。オリーブオイルを使って料理
するということは、特にイタリア料理に限定されることではありません。
おいしいオリーブオイルは普段の料理にも
また、オリーブオイルは摂取することで
さまざまな健康上の効果があります。
腸内環境を改善し、お通じがよくなる、
コレステロールや中性脂肪の数値を下げる、
血管をきれいにするため、心臓疾患や
血圧に良いなど。カロリーの数値だけで
考えずに、自分はどんな食生活をしているか
どんな油分を摂取しているかを考え
把握する手段になります。
加熱してはいけない?
エキストラヴァージンオリーブオイルを加熱してはいけないという偏見は
日本で浸透しているかもしれませんが、これほど間違った考え方はないと
言えるでしょう。実際に私がかかったイタリアの医者は、常々加熱の際にも
なるべく良いオリーブオイルを使いなさいとアドバイスしています。
- *オリーブオイルはポリフェノールを多く含むため、抗酸化作用が強い。
- *オレイン酸も多く含むことにで、他のどの植物油よりも加熱に強い。
こんな実験結果もあります
他の植物油を熱した場合、160度以上になると化学変化が起こるのに
対し、オリーブオイルは180度を超えずに長時間加熱しなければ
変化はほとんど発生していません。また、200度で2時間加熱した場合
でも、胆のうの収縮による、胆汁排出を促進する効果に変化がない
ことが明らかになっています。
出典: | 『オリーヴの本』河出書房新社 ベルナール ジャコト著 1962年、パリで医学博士号取得。仏国立衛生医学研究所の研究部長を 務めるなど、世界的な動脈硬化研究の権威」 |
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しかし実験結果を見ずとも、こう考えることはできないでしょうか。
もしエキストラヴァージンオリーブオイルを加熱してはいけないとなると、
地中海沿岸地域の人々が食べている大半の料理は体に悪く、地中海料理を
食べて暮らす人々の心臓疾患の割合が世界的に見て少ない調査は根底
から崩れてしまうでしょう。唯一言えるのは、オリーブオイルは煙がでる
ほど熱したフライパンでの調理は向きません。地中海の料理は中華
料理の炒め物と異なり、弱火、中火で熱することが好ましいのです。
保存方法 ~気候とともに~
オリーブオイルは非常に安定性が高く、抗酸化力も強い油です。
しいて言えば、明るい日差しや蛍光灯のあたる場所、ガス台の周りなど
の高温の場所を避け、冷暗所で保存しましょう。温度変化が激しいところ
は避けて下さい。よく冷蔵庫に入れる人がいますが、固まります。
ウンブリアの冬は北海道のように寒いため、固まることはよくあります。
固まると使う分だけ自然に溶かして使います。溶かしては冷蔵庫に入れ、
また固まるのを繰り返すと、風味が落ちる原因になります。
夏場あまりにも暑い場合、冷蔵庫の野菜室くらいなら入れても構いません。
しかしオリーブオイルはアフリカに近いシチリアでも生産、消費されている
ことをお忘れなく。
また、オリーブオイルは周囲の臭いや味を吸収しやすいため、味や香りが
変化を受けることもあります。空になった瓶を洗わずに長く放置し、そのまま
次の新しいオリーブオイルを入れると、古い油の臭いがつくこともあります。
そういった場合、瓶は洗浄してよく乾かしてから次のオリーブオイルを入れる
ことをお勧めします。食器用洗剤を入れ、柄のついたスポンジなどで洗い、
お湯でよくすすいでください。なぜか油の瓶は洗ってはいけないと思い
込んでいる方が多いですが、まったくの誤解です。農家では、毎年50
リットルのオイルタンクに保存して1年間使用し、次の年の新オイルを
入れる前に一度きれいに洗って乾かします。
よいオリーブオイルの見分け方
最近オリーブオイルの偽装が知れ渡り
始め、どんなオリーブオイルが良いか
わからない、という質問が増えています。
残念ながら、生産する上で偽装は
ずっと以前から普通にあったことで、
選ぶ人が避ける術を身につけるしか
ありません。
信頼のできる
- 生産者(産地)
- 搾油所
- 販売店
を探すことや、どういう経路で輸入
されているか情報として知った上で、
もうひとつ、私が今までオリーブオイ
ルに携わってきた中で感じていること
をお話します。
イタリア人は、酸度が何パーセントとか、検査結果の細かい数字で良し悪しを
判断していません。味見した時に、美味しいかどうかと良いオリーブオイルか
どうかが一致しています。オリーブオイルを何世代もかけて、生まれた時から
食べてきている人たちにとっては可能なことですが、私たち日本人には
最初はわからないかもしれません。彼らは離乳食からオリーブオイルを
食べています。しかし私がこのオリーブオイルを食べるようになって約20年。
特に難しい勉強などはしておりませんが、割と早い段階からわかるように
なってきました。
良い油は、口の中でも、体内に入った時にも、スーッと溶けてなじみます。
まず口の中で様々な風味を感じ、その後食べ終わって消化する段階でも
この現象は起こっています。オリーブオイルに限らず、美味しいバターを
食べた時にも口の中でスッと溶けていくのがわかります。またバターたっ
ぷりのクロワッサンを食べた時、豪快に油を使ったカレーを食べた時にも
同じです。どちらも沢山油分を使っています。
おかしな油は風味の問題もさることながら、口の中にベターっとした嫌な
感覚が残り、食べ終わった後に胃もたれしてなんとなく調子が悪くなったり
します。胃に入って胃酸を調整し、胆のうが胆汁を分泌して脂肪を分解
する、腸に入って蠕動運動が起こるなど様々なことが消化の段階で起きて
います。体の感覚に意識を傾けることはとても大切です。良い油を食べ
続けることで、体もわかってきます。核となる基準を身につけましょう。