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Silvio's Words
 
パネットーネ
2004年12月25日(土)   The Original Text

パネットーネ
パネットーネ
もしクリスマスに味があるとしたら、その味はどんなイタリア人にとっても「パネットーネ」だろう。大きなブリオッシュのようなケーキで、100gから10sのものまで大きさはいろいろだ。柔らかくてバターを多く使い、ドライフルーツや干しぶどうがたっぷり。イタリアの普通の家族なら、1kgのパネットーネを、クリスマスから正月にかけて最低でも三つは食べてしまうだろう。テーブルの真ん中に、丸ごとでも大きく切り分けてでも必ずのっている。朝食にも最適、昼食や夕食のデザートにも、それからおやつや夜遅く劇場やディスコから帰ったあとにも。なんていうか、全部食べてしまうまでは満足しないし、終わったらまた買ってしまう。塩やニンニク、オリーブオイル、パンやワインなどと一緒で、この時期には、家にないと不安になるもののうちの一つなのだ。

そして時期が終わると忘れてしまう。またはちょっと体重計にのってみて憎らしく思ってしまうこともある。しかし12ヶ月経つとまたしても一家の主役と化してしまうのだ。

先日の保健衛生省の発表によると、イタリア人はこの時期にだいたい4sも体重が増えてしまうそうだ。この4sには、当然パネットーネも大きく影響している。僕と息子はもう二人で一つ食べてしまった。2005年の年が明ける頃には、体重が4sも増えていたらどうしようかと今から想像しておそろしくなっている。


パネットーネがいつからイタリアで食べられているかというと、以外と古いものだ。ミラノや他のロンバルディア地方ではだいたい千年程前からあったという。(キリスト教徒以外の)異教徒が祭典に使っていたのを、カトリック教徒がクリスマス行事に使い始めたのだそうだ。家族が暖炉の前に集まり、一家の長がワインを杯にそそぐ。何滴かは火の中に、あとはキリストの血を思いながらそのワインを飲み、そして家族に杯をまわしていく…

最後に各人に大きく切った3つのパン(キリスト教のシンボルの一つ)を渡す。このパンをクリスマスイブまでとっておき、ようやく三つの大きなパン(パネットーネ)を食べたという。たぶん、現在のパネットーネは15世紀頃にできたもので、当時有名だった菓子職人"トニー"によって発明されたという。彼はミラノの貴族で、当時最も権力があり、恐れられていたファミリー"ルドーヴィコ・イル・モーロ"に仕えていた。パネットーネの名前の由来は、このルドーヴィコが"pane di Toni"(パーネ ディ トーニ/トニーのパン)と呼んでいたからだと言われる。

1800年代の終わりまで、パネットーネはミラノとロンバルディア州でしか食べられていなかった。しかしある大きなパン工場が、たった数年でイタリア中にクリスマスのお菓子として広めてしまった。このパネットーネのは、イタリアでも作り方が難しいと言われている。材料は、基本の小麦粉、水、イースト、卵、バター、砂糖、干しぶどう、オレンジとレモンのピール。

オーブンで焼く前に長時間の発酵が必要で、普通、高さのある大きな丸いドーム型だが、ピエモンテ州やいくつかの他の州では高さのないパネットーネの場合もある。チョコレートが中に入っているものや、クリーム入り、ヌテッラ(チョコレートとナッツをペーストにしたクリーム)やいろいろな種類のおいしくて危険なパネットーネがある。値段もお手頃だ。8ユーロあれば1kgの大きなパネットーネが買える。だいたいどのメーカーのパネットーネもおいしいが、ミラノのショッピング街の中心、Via Montenapoleone(モンテナポレオーネ通り)のすばらしくエレガントな"Caffe'Cova"のパネットーネは、僕にとっては他に類を見ないおいしさだ。

ちょっとアドバイスをひとつ:パネットーネは食べる前に温めるとよい。こうするとバターの脂肪分がゆっくり溶けてより柔らかく、よい香りがしてくる。

Buon Natale(ブオン ナターレ・メリークリスマス)


シルヴィオ・ピエルサンティ  2004年12月17日


   

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