オリーブオイル屋 ブオーノイタリア
HOMESITEMAPお問い合わせ
ウンブリア便り 森の書斎から ショッピング くちこみレシピ 店舗案内
森の書斎から 〜 Silvio's Words
HOME > 森の書斎から > 花嫁道具(前編)
Silvio's Words
 
花嫁道具(前編)
2005年10月22日(土)   

この辺りでは、結婚する時に花嫁が花嫁道具一式を持たないことは、結婚式に裸で登場するようなものである。ではこの花嫁道具一式がどういったものかというと、100%麻でできたシーツ、枕カバーを少なくとも3セット。その中の一式は結婚初夜のための純白のシーツでなければならない。他のシーツは花嫁の好みの色を用意するが、一般的には白か象牙色のものが多い。

他にシーツと同色のクッションカバー、12枚のタオル(大小の組み合せ)、テーブルクロス3組(6人用テーブル)、6人用のナプキン。足まで届く長さのパジャマ2枚、6枚のショーツ、寝室用とサロン用に、床までの長さのカーテンを2組、テーブルセンター、お茶用のナプキン、鍋つかみなどなど、すべて麻100%でできている。

さらにすばらしいのは、それらすべての作品には手縫いの刺繍がされ、芸術作品となっていることだ。これらの花嫁道具一式の値段は、最低でも30万ユーロ(約430万円)で、高価なものでは1千4百万円もするものまであるから驚きだ。時々慈善家が貧しい家系の出の女性を社交界に出すために、これらの花嫁道具一式をプレゼントしたりもする。きれいにアイロンをかけてたたんだ道具一式がタンスにあれば、いつでも嫁に行けるというものなのだ。もし女性がこれらの道具一式を持っていなければ、社会的地位が低いことになり、村の中で地位のある男性との結婚を望めないことや、離婚歴のある男性としか結婚できないことを意味する。

これらの高価なシーツは、結婚初夜に一度使った後、娘が結婚する時まで使わない女性が多い。母から娘へと代々受け継ぐところは日本の着物とも似ている。これだけ高価でめずらしいものなので、もし持ち主が娘や孫が嫁に行く前に亡くなった場合、遺言を残す場合もある。

これらの麻でつくられたシーツ類の刺繍は大変デリケートで美しい。使うのがもったいないくらいだ。良い作品は美術館に飾られてある。

この手縫い刺繍のすばらしい芸術家が、ウンブリア州、アビリアーノという小さな村にいる。ローマから電車と車で2時間、中世の芸術の街トーディから12キロにある。ウンブリアでは手芸の刺繍は何世紀も前から伝わる伝統である。

つづく

シルヴィオ・ピエルサンティ
訳、朝田今日子


   

PAGE TOP
HOMEウンブリア便り森の書斎からショッピング店舗案内SITEMAPお問い合わせ
Copyright (C) 2004 Buon'Italia Co., Ltd. All Rights Reserved.